裏リーグ振り返り2
FINAL STAGE
無事優勝、そして目指していた裏リーグ二連覇も達成することができました。
この譜面は特に自分らしい仕上がりになったな~と思っていたので高く評価していただけたことはとても嬉しいです。
譜面制作について
とにかくめちゃ大変でした。(特に前半)
冒頭の演出 (~0:31)
なんとなくこういう演出にしたいという映像のイメージは初めからあったのですが、
当初は小節線をアニメーションさせる仕組み (サビ前、2:09~で使っているやつです) で実現させようとしていました。
しかしそれだと最初のノーツが来る前に2000小節以上も使うことになってしまいますし、画面の右側に小節線を表示させようとすればするほど小節線が移動してその場に留まらない (右側に表示させるにはスクロール速度を速くする必要があるからです) のでなかなか綺麗に作ることができず断念しました。
そして色々悩んだ結果、最終的にはこうなりました。
要は
・小節線を見せるための停止時間 (実際に曲が経過する時間と同じ)
・次のコマに送るための瞬間移動 (0秒)
・表示する小節線を担当する小節 (できるだけ素早く通り過ぎるようにする)
・次のコマに送るための瞬間移動 (0秒)
を繰り返しているというシンプルな仕組みなのですが、
「表示する小節線」がちゃんと読み込まれるようにできるだけ小節数を削減する必要があったので割と難航しました。
(変な拍子を使っているのはそのためです)
42小節からの単色と小節線のパート。
最小限かつ最大効力での緊張感に気圧されてしまいました。大好きです
ありがとうございます。(0:15~0:31あたりの箇所ですね)
中央で停止していた小節線が動き出してゆっくり判定枠に向かってくる、というのは作ってる途中での思いつきだったのですが、かなり緊迫感が出ていて自分でも気に入ってます。
序盤のギミック地帯 (0:32~1:14)
この地帯は正直どういう方向性に仕上げるかが全く固まっていませんでした。
(普段はまず曲を聴き込んで、ある程度配置や演出をイメージしてから作り始めることが多いです)
とりあえず音に合わせたギミックを仕込みながらノーツを配置していってなんとかまとめたのですが、こんなほぼ行き当たりばったりみたいな作り方をすることは滅多に無いので禿げるかと思いました。
冒頭の小節線ギミックや46-496の演出は、仕組みは単純であるものの試しに入れるだけで相当な労力を要します。
それを曲とのかみ合いやプレイ面との競合を完璧に調整しきっている点が非常に素晴らしいです。
こういう停止ギミックというのは使う場所が限られると思うのですが停止ギミックの良い点を曲に合わせているなと思いました。
こういったギミック地帯は自分自身では何をどう置いたかがわかっている関係でなかなかプレイ面の印象が想像しにくいのですが、そこのバランスもなんとかよくできていたようで安心しました。
ちなみに、自分はHBSCROLLのギミックで一般的に用いられるBPM変化の挙動があまり好きではないので、できるだけリアルな動き (慣性というか物理演算というか…) に見えるように滑らかな加速・減速を意識してます。
これは特に停止ギミックとの相性がめちゃくちゃいいのでオススメです。停止状態から徐々に加速させることによって「キッカケ」がなくてもシームレスに普通の譜面配置に移行することができます。(この譜面でも多用してますが、よく見ると動き出すタイミングは曲と全く関係ないです。でも違和感ないですよね)
サビ① (1:15~1:30)
思い切って1小節丸ごとシンメトリーに配置する選択を取りました。
最低限のリズムの軸 (10210210210200,とか 10210102101000,) からは外れないようにしつつ、色々なパターンに肉付けしています。
1フレーズ毎に明確な区切りがつくので7/4拍子進行に変わったこともわかりやすいですし、後で控えている同じ構成の箇所との差別化もできました。
序盤のシンメトリー部分が特に良いですね 最初のギミックが混沌、そのあとに秩序を見せられていてもう俺の頭はぐちゃぐちゃだ
ただHBSCROLLのギミックだけで魅せているのではなく、配置にも磨きがかかっており、譜面としてクオリティが高いです。特に525小節目からの1小節毎の鏡配置の置き方が秀逸だと思います
こういった感想は嬉しかったですね。めちゃくちゃギミックを使った地帯の後にくる展開としても上手く作れたんじゃないかな~と思ってます。
低速部分 (1:30~1:44)
この部分も結構困りました。曲の構成が意味不明すぎる…
曲をスローで聴きながら配置したあと、等速で再生してニュアンスを調整する、みたいな作り方をしたんですが、あんまり自信のある仕上がりにはなりませんでした。
もう少し削ってガッツリ密度を落とす展開にしても良かったかもしれないです。
休憩地帯 (1:44~2:10)
冒頭と同じ展開ですがキックのリズムが少し変化していて、付点も混じってさらに緊迫感が高まっています。
途中からゴーゴーを点滅させて、その濃度を濃くしていくことでサビへの高まりを表現しました。
2:09~の音に合わせて小節線を出すやつはいつものやつと言ってしまえばいつものやつですね。前回 (UMBRA) と一緒なことするのどうなの?とも思ったんですけどこれ以外思いつきませんでした。
サビ② (2:11~2:25)
一回目とは違って割と音通りに配置しました。少しメロディーを意識した配色になっています。
20分音符は正確には曲とは合っていないのですが、24分だと重すぎるのでこうなりました。「222221」「111112」という配置は入りと逆の手で着地することになるので、最後の拍から次の小節頭への繋ぎとしてはむしろ20分のほうが適任なのかなと。一回目とアプローチは違いますが、これも7/4拍子を1フレーズごとに区切りやすくする効果があると思います。
4つ打ち地帯 (2:25~2:42)
ここが作りたくて選曲したみたいなところあります。激アツすぎだろ
こういう展開と配置ってプレイしててめちゃ楽しくないですか? というだけなので特にコメントはないです。
特に626小節以降のたたみかけるような展開が良かったです。
634小節で一度安定させつつ、徐々に12分や24分で狂わせていく展開が性癖にぶっ刺さりました。
ラストも16分地帯から発狂地帯への遷移がすごく好きです。
自分だったら16分地帯もゴーゴーにしたくなっちゃうんですが、ゴーゴーにしないことでより一層譜面のコントラストがはっきりとしてくる感じです。
最後全部ゴーゴーにするかどうかはちょっとだけ悩んだんですが思い切ってゴーゴー消して良かったです。
ラスト (2:43~)
ここも曲聴いた時からこういう風にするぞー!というのは固まってました。
SCROLLを速くすると24分の見た目がマイルドになるのがちょっとだけ懸念点だったので、大音符でフレーズを整理しながら視覚的な圧も損なわれないように配置しました。
626小節からのラッシュも、音楽ゲームにおける「発狂」としてゲーム性ができておりとても良いです。
626小節からのラスサビ。
ひたすら複雑な譜面のはずなのになぜここまで不快感を一切感じないのだろうか……
スッキリとゴチャゴチャしているって一体何なんでしょうか
終盤は全体的に音ゲーとしてのプレイする気持ちよさを重視しています。構造的に前半の視覚的なアプローチとの対比になる、というのも狙いのひとつではありますが、やはりラストにゴリ押し配置がやってくると楽しいですからね。
個人的なイチオシ譜面
1ST STAGE
Ain
配置の「音ゲー感」が好きです。楽しい。
Fons Mortem
ビルドアップが綺麗なのがめちゃくちゃ印象に残ってます。
自分はビルドアップの配置にかなり苦手意識があるので…
Heartstrings
ゲーム性と音楽性の両立が上手かったです。
まふぁいん
大音符の使い方が最高でした。隣接のところとかめちゃくちゃ楽しいです。
なんなら隣接で大音符押させるのいいな~と思ってBulkModulus作るときにパクりました。
2ND STAGE
Stellar Detonation -Explore NGC 2068-
まず曲が凄いです。
当たり前なんですけど譜面との親和性も最強ですし展開がめちゃくちゃいいです。
オリジナル曲の強みがめちゃくちゃ出てますね。
Reanimate
譜面分岐の使い方が秀逸でした。
こういうの真似したいな~と思うんですけどここまで上手くコントロールできる自信ないです。
FINAL STAGE
Alea jacta est!
楽しかったです。
バンドサウンドの曲で上手く配置するのは実は難しいのでここまで綺麗に纏められるのは偉いと思います。
Stellaria
終盤の畳みかけが最高すぎる! これぞ音ゲーという感じです
ノーツ配置も全体的にすごく整ってて好みでした。
裏リーグ振り返り
URA LEAGUE "Nebula Cup" 無事終了しましたね。
参加者の皆さん、そして主催陣の方々、本当にお疲れ様でした。
ぶっちゃけここ数年は次郎の作譜自体あまりやっていなかったのですが (正確にはDPにハマってDP譜面を趣味で量産していました)
久々にガッツリ制作できてかなり楽しかったです。
そこで、
今回提出した譜面について、いただいた感想を拾いつつ制作過程での考えとか裏話とかをまとめるぞ!
というのがこの記事になります。
譜面動画も用意したのでよければ合わせてご覧ください。(文中の時間指定は動画に紐づいています)
※撮影はりーふ(@LEAFdayo_)に協力してもらいました。感謝!
1ST STAGE
コンセプト
リズムのズレを全部拾ったらめちゃくちゃ楽しい譜面になるだろうなと思って作りました。
実際は適度にデフォルメしてますが、要素としてはかなり曲そのものが出力された譜面に仕上がったなと思います。
作譜において大きく意識したのは
・8分音符のグリッド上にノーツをキープする
・運指を重視した配置でプレイ感をコントロールする
の2点で、ごちゃごちゃしつつも全体は綺麗にまとまっている印象を目指しました。
補足
「運指を重視した配置」という点ですが、
特に疑似的に「同時押し」を要求するような二重音符(32分や48分の2連)を「ノーツの一種」として積極的に取り入れることによって、
延々と8分を主軸にする展開でありながらも場面によって色々な味を持たせる狙いがありました。
(音を拾った結果として2連を置いている箇所もありますが、大音符を置く、風船を置く、などと同様に二重音符という種類のノーツを置いている、というイメージです)
たとえば93小節 (1:49~) などの「21→22→12」は、4レーンのゲームで
みたいな配置を押している感覚をイメージして配置しています。
プレイ時に疑似的にノーツの種類が増えたような運指になり、ゲームとしての面白さも生み出すことができています。
という感想をいただきましたが、まさにそういったプレイ体験を目指していたのでそれが伝わったのは嬉しかったです。
余談
実はこの曲は前回 "Cotton Cup" の2ND STAGEで選ぼうとしていたのですが、
当時はイントロの表現や序盤の配置がうまく纏まらず、結局制作を断念しました。
そういった経緯もあってなんとなくリベンジのような感覚で挑んでいたので、結果はちょっと悔しかったです。
でも譜面の満足度でいうと3譜面の中でこれが一番気に入ってます。
やはり昔上手くイメージ通りに作れなかったものが作れるようになったという達成感が大きいですね。
2ND STAGE
コンセプト
2NDSTAGEでは元々別の譜面を用意していたのですが、
この曲を聴いた時に雷が落ちたみたいな衝撃を受けて、そのまま勢いで制作しました。
特に「ノイズの表現」と「畳みかける展開」は絶対外せない要素だったので、そのあたりはかなり試行錯誤しています。
ぶっちゃけ曲が意味不明なので結構不安な要素もあったんですが、優勝できてよかったです。
補足
ただ、今見返すと細かい点に粗が結構あるなという印象です。
特にゴーゴーの点滅に関してはいくつか指摘を貰った通り、もう少しやりようはあったかなと。
実際作ってる時に結構悩んだんですが、最初のドロップの入りで点滅させてしまったので、
なんか全体的に点滅させないと辻褄が合わなくてヤケクソになってしまいました。
180小節の小節線が表示されていることで曲が一瞬途切れて狂う異質さが損なわれているように感じたことと、(中略)
それから、この小節線 (1:23~) に関しても結構悩んで、
最終的には「リズムが訳分からなさすぎるから小節線があったほうがプレイしやすい」という結論で表示していたのですが、
やはり無いほうが曲の雰囲気に合っていて良かったな~と思います。
余談
この譜面で使っているギミックに関してなんですが、実はArcaeaでよく使われる演出をヒントに作りました。
特にノイズに対して入れている処理落ち風の演出はかなり合っていて気に入っています。